本好き日記

本好き腐女子の読書日記を綴るブログです!

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天使の軍隊

天使の軍隊 佐々木 敏 ¥ 2,100 講談社 (2007/4/26) 脳みそがひっくり返る、これこそ小説の醍醐味。2020年、金正日が亡くなり、日本にあてた遺書が公開される。日本人拉致事件を遺書の中で詫びる金正日。日本を褒め称え、日本海の名称を認め、竹島を日本の領土と明言する。日本と北朝鮮は同盟国であるのだ。北朝鮮は、中国と戦争を経験しており、かつての国境地域だった鴨緑江の西側は「西岸ベルト」と言われる国連の管轄下にある。その世界では、戦争はWAR3.xというレベルに到達しようとしている。第一次世界大戦までの戦争はWAR1.x。それ以降の大量殺戮型の戦争がWAR2.x。WAR3.xでは、従軍するのはロボットであり、にんげんの犠牲が出ない。そういう戦争である。ちなみに、その世界では人間がロボットに乗り込んで戦闘を行うガンダムのようなアニメは子どもたちに敬遠されている。リアリティがないというのだ。しかし実際にWAR3.xを決行しようとすると莫大な資金が必要だ。だから、それを行えるのはアメリカくらいしかない。主人公たちが所属する天海堂は、その不公正を正すために、ロボットで戦闘を行う民間軍事会社としての仕事を秘密裏に行っている。人が死 なない軍隊。それが天使の軍隊というだ。中国は、北朝鮮に戦争をしかけるためにテロリストを雇って西岸ベルトを制圧し、北朝鮮を挑発する。その挑発に乗るわけにいかない北朝鮮は、天海堂に助けを求めた。これがだいたいのストーリーです。登場人物のキャラクターがいまいち際立っていない。人間ドラマとしてはまったく面白くない。無駄な会話も多いので、読んでいてツライのも事実だが、この本の主役はロボットです。その知識、技術です。著者の方も、この本は現実のロボット工学の知識が十分に活かされていると言っている。遠隔操作で操られるロボット。それを操るものはダンサーと呼ばれ、体に何十本もの細いベルトをつけられている。人間工学に基づいて作られたロボットと動きをシンクロさせることができるのだ。センサーなどは胴体部分にある。頭につけることは重心が頭になってしまうのでバランスが悪い。首の取れたにんげん型ロボットがバイクを乗り回す描写はぞっとする。理系の方向けの小説と言えるかも。
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虹の橋

虹の橋 湯川 れい子 (著)・半井 馨 (イラスト) ¥ 1,470 宙出版 (2006/3/2) たかがペットとはいえ、一緒に暮らしていると大事な家族の一員だ。そのペットが死んだときには、家族を亡くしたみたいに悲しくて心にぽっかり穴が開いたような気がする。そんな経験をお持ちの方の絵本です。「天国のちょっと手前に、『虹の橋』と呼ばれている場所がある。生前、とくに誰かと親しくしていた動物が死ぬと、ここへ行くんだ。それでずっと病気だったり、年をとってしまった動物たちは、ここに来て健康と元気を取り戻す。たったひとつのちっちゃな不満を除けば、彼らは幸せに暮らしているんだ。そう、後に残してきた、とても特別な誰かに逢いたい、と願う切ない思いを除けばね。彼らは、いつもみんなで走ったり、遊んだりしているけれど、でもある日、そのうちの一匹が立ち止まると、遠くをじっと見つめるんだ。その目はキラキラと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震え始める。そして突然みんなから離れると、みどりの草の上を、一目散に飛ぶように走り始めるんだ。そうやって、あなたと、あなたの特別な友達は、ついに出会って再会を喜び合い、抱き合うんだ。『もう二度と離れるものか』というように。そして、あなたたちは一緒に、『虹の 橋』をゆっくりと渡っていく…。」イラストもかわいい。特別な友達に出会えて走っていく犬の瞳が潤んでいるイラスト。ペットを亡くされて、辛い思いをされている方へのプレゼントにしても素敵な一冊です。

絶望に効くクスリ 10

絶望に効くクスリ 10―ONE ON ONE 山田 玲司 ¥ 650 小学館 (2007/6/5) 「絶望に効くクスリ」を。漫画家、山田玲司さんがさまざまな人物に会い、インタビューしている本。もちろん漫画です。これを読んでいると、自分のつまらない悩みなんかまだまだたいしたことがないんだ、とか、こんな風に生きている人もいるんだ、といつも励まされる。この本に出てくるのは、・解剖学者 養老孟司・日本テレビ 土屋敏男(電波少年のT部長)・ダンサー アキコ・カンダ・作家 猪瀬直樹・作家 宮城まり子・ギタリスト 野村義男・文筆家 伊勢華子・ピアニスト 舘野泉 どの人の言葉も含蓄があり、深く感動できるんだけど、私が好きな話は宮城まり子さんと野村義男さん。小説家吉行淳之介と不倫の恋に落ちた女優、宮城まり子の壮絶ともいえる愛し方。病魔に侵され、時にひどい欝になり作品を燃やしてしまったという吉行氏。宮城氏は言う。「だからいつでも燃やせるように暖炉を作ったの。」こんな風に支えるだけの愛情っていうのもあるんだなあ。そして、その優しさと強さが、ねむの木学園という障害児を 預かる施設を作ることにつながるのかなあ、なんて優しくも強くもない私は思う。無邪気なんだ。ただ、自分のやりたいことをしたの、彼女は言う。無邪気といえば、野村義男もそうである。野村義男。ええ、私の世代のアイドルですよ。アイドルのヨッちゃんが地味なギタリストになっていたのを、一時は笑いはしたが、今では十分に成功したといえるのではないでしょうか。ただギターが好きなだけ。仕事がない時代にはそれなりに苦労もしたようだが、それでもそう言って笑う。貯金をはたいてギターを買って、残りが120円くらいになったと言って笑う。好きなことに没頭して笑えるというのは素敵なもんだと思う。他にも、左手だけでピアノを弾く舘野氏。世界の子どもたちの言葉を集める伊勢氏。道路公団に命がけの戦いを挑んだ猪瀬氏。こんな人もいる。

ロストジェネレーション―さまよう2000万人

ロストジェネレーション―さまよう2000万人 ¥ 1,260 朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班 朝日新聞社出版局 (2007/7/6) いまや本屋にあふれている格差社会の本。朝日新聞が、25歳から35歳までの若者の生活を取材している。就職氷河期を経験した世代で、偽装請負などの被害にもあっている。未来に希望をもてない。そんな世代。ロストジェネレーションとはもともと、第一次世界大戦のアメリカで、既成の価値観を拒否した世代につけられた名称なのだそうです。これを現在の若者に当てはめ、しかし、ロスト=失われた、ではなく、=さまよえると解釈したいと言っています。私たちはさまよえる世代…。会社に入って一生をその会社にささげるという従来の価値観をもてず、また同世代でも明確に収入の差がある、均一のカラーのない世代。つかみ所がない、と思われているようです。基本的には、こんな人います、こんな人もいました、というルポ。分析やデータはいまいちなので、それを求める方には山田昌弘氏の著作がおすすめ。ある男性は、工場に派遣されているが、派遣期間が終わるとすぐに引越しをして新しい工場での勤務が始まる。技術など身につかず、単純作業を繰り返し、将来への不安は募るばかりである。ある男性は、あきらかにいんちきと思われるシロアリ駆除のセ ールスをしている。だましているという自覚は心の中にぼんやりとはある。だが、自分たちだって生きていかなければならないのだし、仕方のないことと思っている。ある女性は、ひとつの職場で得るものがないと思うとすぐに転職をしている。自分のキャリアは自分で築く。会社なんかには頼らないという決意がある。世の中が信用できない以上、愛する国を守りたい、日本人であることだけが信じられることという若者が増えている。寄らば大樹の陰というのは昔の話。硬直した官僚組織に見切りをつけ、起業する若者がいる。自らの未来は自らで切り拓く意思に満ちている。ロストジェネレーションもいつまでもさまよい続けているわけではない。政治家を目指し、社会とつながることで声を上げようとしている若者がいる。高い家賃に抗議のデモをし、クリスマス粉砕のプラカードを掲げてクリスマスに路上で鍋を囲むパフォーマンスをする若者がいる。多様化する若者の姿を豊富な実例で描いている。その意味では大変読みやすい。この世の中を生きる人間像としても興味深く読める。フリーターや派遣を万歳三唱で世の中に送り出したのはマスコミでしょ、と思わなくもない。自 衛隊員の若者にけちをつけるような文章もさすが。就職氷河期は終わったが、派遣社員が増えているのは事実。仕事によって、待遇や給与に格差が出てくるのも事実。決してこの世代だけの問題ではないのである。かわいそうでは何も変わらないのである。まず現実みようよ、というのが正直な感想である。

新・買ってはいけない 4

新・買ってはいけない 4 垣田 達哉 ¥ 1,260 金曜日 (2007/01) 毎度おなじみ(?)買ってはいけないの4巻が出ました。最初の巻が出たのは1999年。当時はずいぶんと騒がれましたが、もうこの手の本にも消費者は慣れっこになったのでしょうか。どのような本か、簡単にご紹介。この本を出は週刊金曜日という雑誌を出している会社から出版されています。この週刊金曜日という雑誌は、一般的なマスコミが、「広告を出してくれる企業に配慮」している現状を憂い、ほとんど広告を載せていません。読者からの出資を募るという形で運営されており、タブーなき言論を目指している、というのが運営方針です。編集委員は本多勝一、佐高信、椎名誠など。買ってはいけないでは、有名企業の製品をずばり名指しで批判しており、1999年に発売されたときはかなりセンセーショナルな論議を巻き起こしました。それでは、2007年の現在、どんな製品が槍玉に挙げられているのでしょうか。・湖池屋 ポテトチップスうすしお味うすしおと表示されていると塩分の含有量が100gあたり120mg以下という規定がある。が、うすしお味という表示では規定はない。こちらはうすしおとあるが、決して減塩食品ではない のである。・スゴイダイズ(豆乳製品全般)イソフラボンは女性に欠かせないというイメージがあるが、撮りすぎないほうがよい。乳がん患者は特に注意をするべき物質である。・花王 リセッシュ天然系をうたっているが、実際には両性界面活性剤、除菌剤、エタノールなどの化学物質が入っていて、天然系には程遠い。消臭には空気の入れ替えが一番です!とのこと。・DHC コエンザイムQ10実はコエンザイムQ10は、食品安全委員会がその安全評価を躊躇している。DHCのサプリメントには医薬品の3倍の量が含まれている。巻末に、話題の商品まとめてチェックというのがあって、ナノテク商品、大豆・豆乳製品、トランス脂肪酸が取り上げられている。特に、トランス脂肪酸はファーストフードやマーガリンなどに含まれている物質で、心臓病に結びつくなどのリスクがある。海外では規制の対象になっているが、日本ではまだ何の措置もとられていない。普段食べている食品のトランス脂肪酸含有率が掲載されているので、興味のある方はぜひ。

外注される戦争―民間軍事会社の正体

外注される戦争―民間軍事会社の正体 菅原 出 ¥ 1,680 草思社 (2007/3/24) 2005年、日本人がイラクで武装勢力に殺された。その日本人は、イギリスのハート・セキュリティ社で働いていて、イラクには警備員として派遣されていた。今、イラクに展開する米軍はPMCといわれる民間企業なしでは組織として機能しない。PMC。プライベート・ミリタリー・カンパニー。民間軍事会社。本書では、いまや各国の軍事活動になくてはならないものであるPMCの実態、活動を詳細にレポートしている。戦争と経済活動の関係としてみるのも大変興味深い一冊である。PMCは主に後方支援に携わる。たとえば、米軍の食料補給は、ケロッグ・ブラウン・ルート社が全面的に請け負っている。物資の搬送(武器弾薬も含む)、非政府組織や公共施設の警備、新兵の訓練から果ては捕虜の尋問なども、PMCが仕事として「受注」しているのが現状だ。捕虜の尋問に関しては、もともとこれは敵の情報を知る大変重要な仕事で、本来は訓練を受けた専門家があたるものであるという。だが、軍の人手不足、いい加減な新規参入会社の受注などの「素人による」尋問が、問題の捕虜虐待事件に結びついたと本書では述べられている。イラクでは今、PMC バブルの真っ最中なのだそうだ。なにしろ、仕事はあふれるほどある。そのため、知識や経験のない人間が簡単に会社を設立し、仕事をしている例も数多く報告されている。だが、もともとはPMCは軍のエリートたちが除隊後に始めたサービスであったそうだ。アメリカに利するゲリラ組織を援助するヴィネル社。若王子氏誘拐事件の解決に暗躍したコントロール・リスクス社。戦闘まで請け負うエクゼクティブ・アウトカムズ社。元デルタ隊員というエリートだけを採用しているトリプル・キャノピー社。これらの会社の活躍も記されているが、PMCが海兵隊員を助けたというエピソードなどを読むと、どっちが本来の軍隊なのかわからなくなってしまう。実際に、給与面でも、訓練の内容でも軍隊より民間企業の方が各段にいい。そのため、もっとやりがいのある仕事を求めて軍を辞める軍人は大変多いそうだ。もっとも、恵まれているのは先進国の人間だけで、安い給与で働かされている発展途上国から集められた兵士、ではなく警備員の実態も報告されている。最後に、PMCが行う危険地域を取材するジャーナリストのための合宿の様子が述べられていて、ここまで 至れりつくせりなのかとため息をついた。また、マスコミをコントロールして世論を誘導する企業もあると知り、現在の戦争は単なる兵隊の殺し合いではないことも実感させられた。

戦争学のすすめ

戦争学のすすめ 松村 劭 ¥ 1,890 光人社 (2006/12) 最近は、憲法9条の改正についての議論が聞かれるようです。本屋さんでも9条に関する本や、戦争に関する本がよく並んでいる。戦争とは何なのか。戦争学なるものを紹介しているこちらの本。「病気に勝つなら医学を学ぶことと同じように、真に平和を欲するなら戦争を学ばなければならない。戦争は外交で得られない妥協を戦場で獲得するのだ。」冒頭に、イギリスの戦略家リデル・ハートの言葉を引用している。国際社会を構成する単位は国家であると著者は言う。国際連合や、国際法は拘束力を持たず、具体的に行動するのは国家だからだ。国家同士は常に対立関係にあり、地政学的、国体の対立、国力の不均衡などの原因で衝突するのが常である。人間同士なので、情緒的な問題が戦争に発展する場合もある。戦争をとらえるのに、社会的な役割ではちがうアプローチがある。庶民にとっては、平和を希求するのであれば、社会学的な見地から戦争を眺めることが必要である。指導者は、兵たちを鼓舞するためのカリスマ性がなくてはならない。また、国家戦略として、近隣に強国を作らせないという勢力均衡政策を採ることも必要である。わが国は第二次世界大戦に おいて敗北を喫しているが、その際にアメリカに文化的に占領されてしまった。ちなみに、無条件降伏という言葉がありますが、これは基本的に軍隊のみに適応する言葉なんです。軍隊を無力化することは戦争の終結として当たり前のこと。ですが、国家を無条件で降伏させるということは今までの歴史ではありえなかったこと。第二次世界大戦は、有色人種の白人種からの差別への戦いであり、日本はその先鞭を切った、誇りを持って語ってもよいことである。国土そのものを防衛線とするのは浅薄な考えであり、太平洋において日本が戦闘を行ったのは決して侵略ではない。現在も、石油を輸入に頼る日本としてはアジア海域での安全が死守すべきラインである、と著者は説く。好戦的であれ、という本ではない。むしろ、生き残るために、誇りを失わないために戦争を直視しようという内容。

バルタザール・グラシアンの 賢人の知恵

バルタザール・グラシアンの 賢人の知恵 ¥ 1,785 バルタザール・グラシアン ディスカヴァー・トゥエンティワン (2006/12/20) 知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。さすが夏目漱石である。理屈通りにいかない人生を、この文章で見事にあらわしている。中学生の頃に聞いたときは大して何の感動も受けなかったけど。そんな住みにくい人の世には、理想論だけでない人生の知恵が必要。きれいごとだけではなく、なるほど、と思わされる言葉が多い一冊です。1ページにひとつの言葉と解説。どこから開いてもいいので、一日のはじめに気まぐれで言葉を拾ってみてもいいかもしれません。・八方美人になる。仲間内の主流を観察し、その場に溶け込むことが大事。特に下っ端のうちはこのような態度でいることが必要である。・わかりやすく、はっきりと話す。難しい言い方をすればいいというものではない。感じよく、伝わるように人に話そう。・真実を上手に伝える。ありのままを知らせることがいいこととは限らない。誰かが辛い思いをする真実なら、和らげることも必要。・世間が認めているものにけちをつけない。ひとり意見を異にすると怪しまれるし、まちがっていればばかにされる。・胸のうちをあかさない。自制して多くを語ら ないこと。もらしたこと全てに対して必ず代償を払うことになるからだ。・愛情に執着しない。愛情が深まりすぎると、敬意は薄れていく。度がすぎれば侮りのもと、というわけである。・斜陽の姿をさらさない。何事も引き際が大事。華のあるうちに引くことが重要だ。たいていの自己啓発書では、八方美人にならない、愛情を大切に、などと書かれていることが多い。しかし、それだけでは大やけどをすることがあるのも人生。大人向けの名言集です。

リッツ・カールトン20の秘密

リッツ・カールトン20の秘密 井上 富紀子・リコ・ドゥブランク ¥ 1,575 オータパブリケイションズ (2007/04) リッツ・カールトンに泊まってみたい!そう思わずにはいられない。話題のリッツ・カールトンについて書いた本。著者のお泊り体験談という形で、「こんなことがあってもう最高!」という著者の話は楽しい。また、リッツ・カールトン東京の総支配人であるドゥブランク氏による補足があるので、それなりにはまとまっています。主婦業と社長業を両立させている著者は、ある日リッツ・カールトン大阪で行われたセミナーに参加する。そして、全世界にあるリッツ・カールトンを制覇、全部に宿泊してみたいという欲求にかられる。宿泊代は決して安いものではない。しかし、なんとか安い部屋を探し、エコノミークラスでリッツ探訪の旅に出かける。そこで、信じられないようなサービスを受けることになる。朝はコーヒーを飲まなくてはしゃきっとしないという著者。日本からコーヒーポットを持ち込みます。リッツでは、従業員は客の好みや、ふと気づいたことなどをメモして専用の箱に入れるような仕組みができています。著者がコーヒーを自分で沸かしているのを知ったホテルは、以後、著者が泊まる部屋にコーヒーポットを用意してくれた。世界のどのリッツに宿泊しても だ。顧客の情報がきちんと全世界で共有されている。スゴイ。タイで頼んだスープがおいしかったというのを覚えていてくれて、アメリカでもそのスープが特別に供される。ゴイ!また、あるとき、自由の女神の見えるニューヨークの部屋に泊まった著者のもとにチョコレートの自由の女神像がサービスされる。なんと、女神の顔のところに著者の写真が貼ってある。ニクイ!誕生日には、従業員用のエレベーターに乗せられた。各階に停止するので不思議に思うと、そこに従業員が並んでいて、「おめでとうございます!」と祝福の声をかけてくれた。これは泣ける。リッツ・カールトンでは、全従業員がすべての仕事に対応できるように違う職域の仕事のトレーニングを積む。転職の多いホテル業界では抜群の定着率を誇っている。社員食堂は無料で、ホテルのコックが考案したメニューガ出る。従業員にはそれぞれ、自由に使える予算と決定権限がある。客へのサービスは現場のアイディアで行われることが多い。いやあ、すごい。サービスとは何か、ものすごいエピソードの数々である。リッツ大好きな著者の楽しいお話を聞く、という感じなので、気楽に読めるのもいい。

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦 ¥ 1,575 角川書店 (2006/11/29) 舞台は京都。大学院生の主人公は、後輩である黒髪の乙女に恋をしている。この恋を、「何とか外堀から埋めていくべく」悪戦苦闘する姿と、乙女の不思議ぶりを描いた恋愛ファンタジー。「たとえば、手近な人間のほっぺへ、やむを得ず鉄拳をお見舞いする必要が生じたとき、人はこ拳を堅く握りしめる。親指は拳を外からくるみ、いわば金具のごとき役割を果たしている。しかしここで、いったんその拳を解いて、親指をほかの四本の指でくるみこむように握りなおしてみよう。こうすると、男っぽいごつごつした拳が、一転して自身なげな、まるで招き猫の手ののような愛らしさを湛える。」これが、乙女の得意とするおともだちパンチである。こうすれば、余分に人を傷つけず、自分を守ることができるのである。ケッ、いまどきもったいぶった、回りくどい洒落かましてんじゃねえ。売れている本だからといって、全てが素晴らしいわけではないのです。四章に分かれている。不思議な事件に巻き込まれる乙女と、それを追いかける主人公という構成。一章、知り合いの結婚パーティに出席した主人公と乙女。乙女は一次会で帰ってしまい、バーで錦鯉を養殖していた男に出会う。 竜巻で鯉を失い、春画を売りに行こうとする男に絡まれる乙女。それを助けに来た羽貫さんと樋口さん。樋口さんは天狗であると言い、空を飛ぶ不思議な芸を見せる。成り行きで、先斗町に三階建ての電車で現れる李白老人と飲み比べをすることになる乙女…。二章、乙女は昔なくした絵本を探しに古本市へ。それを追いかけて古本市へ来た主人公は、古本の神様という少年に出会う。乙女の本を取り返すべく、李白老人の供する悶絶激辛火鍋に挑む主人公。不思議な絵本「ラ・タ・タ・タン」は果たして乙女の手に渡るか。三章、学園祭である。乙女の姿を探して校内を歩く主人公。そこで、一度しか会ったことのない女性に再会するまでパンツをはきかえないというパンツ総番長に出会う。ゲリラ的に行われる演劇。錦鯉のぬいぐるみを背負って歩く乙女。象の尻。舞台の上で、主人公は乙女に愛の言葉を…。四章、京都にひどい風邪が流行する。羽貫さん、錦鯉センターの男、知り合った人間のお見舞いに奔走する乙女は、その風邪のおおもとが李白老人であることを突き止める。幻の風邪薬を手に入れ、李白老人の元へ向かう乙女。そして、やはり風邪に倒れた主人公は、夢と現実の 間で乙女と共に竜巻に巻き込まれ…。奇想天外。ファンタジーである。

夜にそびえる不安の塔

夜にそびえる不安の塔 井形 慶子 ¥ 1,575 講談社 (2006/9/22) 井形慶子さんというと、おしゃれなイギリス生活の本を書く人である。この本は今までの本と違う分野です。占いの世界を深く掘り下げた、筆者の体験からなるレポート。筆力があるので小説のように読める。ミスター・パートナーという雑誌を創刊して、4人から始めた事業は、もはや30人ほどの社員を抱える会社になった。著者はその社長である。昔、仕事で知り合ったサワダという男性から、著者に、占い師の取材を行ってほしいと依頼が来る。それは、サワダ氏が私財を投資して始めた企画であった。正体は偽って、架空の人物「けい子さん」として、サワダ氏が選んだ3人の占い師にコンタクトを取る著者。折りしも、会社はその頃、転換期に入ろうとしていた。情熱をもって始めた創業期の人間と、指示待ちで責任感のない新人たちとのあつれき。いろいろな問題を占い師に相談する。占い師たちは、お互いにはその存在を知らない。口裏を合わせているわけではないのに、その言っていることは3人とも同じである。しかも現実にも合致していた。右腕的存在の、トドロキくんが会社を辞めたいという。ともに創業時から仕事をしてきた大切なパートナ ーだ。何度も衝突するものの、占い師たちはみな、「彼はあなたから離れることはないから安心して。」という。トドロキくんは会社を辞めるが、付き合いが切れることはなかった。他にも、部下のことや一緒に仕事をする編集者のことを相談し、次第に占い師たちのアドバイスに傾倒していく著者。占いがいい、悪い、ではなく、彼女らとのやり取りを通してある程度人の運命が決まっているもの、ということをにおわせる。同時に、占いを悪用する人たちの様子も描かれている。最終的に、占いだけに頼るのではなく、自分で運命を切り拓いていくという終わり方にはなっている。会社の創業期から安定期に入った頃の、働く人たちの意識に揺れる起業家の、迷いの5年間の物語でもある。サワダ氏の失踪、著者の見た不安の塔の夢など、ラテンアメリカの小説みたいな幻想的な描写もなかなか。

おいしいハンバーガーのこわい話

おいしいハンバーガーのこわい話 エリック シュローサー ¥ 1,365 草思社 (2007/4/24) ファーストフードの歴史、その経営の内情、香料という不思議な物質。これらのことが詳しく書かれています。1章 ファーストフードの歴史工場のような生産方式でハンバーガーを売り出したマクドナルド兄弟。それをレイ・クロックという男がフランチャイズ方式で全米に広め、真似をしたファーストフードチェーンが続々と誕生した。 2章 子どもは大事なお客さま子どもはテレビの番組とCMの違いがわからない。CMで言っていることを真実だと思う傾向がある。それを利用して、子どもを洗脳していく様子がよくわかる。 3章 マックジョブ。マックジョブとは、単純でキャリアにならない仕事のこと。ファーストフード店は、若者を低賃金、保険なし、長時間労働という悪条件で雇用することで利益を出している。 4章 フライドポテトの秘密。大規模な工場で、ポテトは作られる。昔の個人経営のジャガイモ農家は、大手の値段設定にあわせなくてはならず、潰れていくところが多い。 5章 清涼飲料水。子どものうちからファーストフードの味に慣れさせるために、学校のカフェテリアに出店する大手チェーンが多い。清涼飲料水の自動販売機があるのも普通の光景だ。 6章 牛や鶏。これは書けない。その飼育方法、殺され方、怖すぎる。とりあえず、生物の自然に反する飼育がなされている。 7章 ファーストフード中毒。アメリカでは肥満の人の数が多くなり、中には胃を小さくする(切り取る)手術をする人も増えてきた。これは100人に1人が術後30日以内に死亡する、危険な手術である。最後の章は、学校の校庭で野菜畑を作り、食物のことを基本から教える運動があること。ファーストフードでも、従業員を人間らしく扱い、きちんと店の台所で調理して利益を出している店があること。

Web2.0が殺すもの

Web2.0が殺すもの  宮脇 睦 ¥ 1,000    洋泉社 (2006/09) 昨年、ウェブ進化論なる本がヒットし、Web2.0なる言葉が雑誌などで見られるようになりました。そして、Web2.0を体現する企業として、さかんにグーグルの名前があげられれています。あの巨大なマイクロソフトを倒した、グーグルこそが世界政府に成りうるものである…。Web2.0バンザイという本が多い中、Web2.0という言葉のもつあいまいさ、実態のなさを警告している本です。では、グーグルとは果たしてそれほど巨大で、無謬の企業であるのか?グーグルの基本的な姿勢は、自ら何かを生産するのではなく、他人の作ったHPを検索させたり、衛星写真を使ったり、誰かの作業にただ乗りでサービスを提供している。インターネット回線にしても、他者のサービスを使い、自らはその維持費用などを負担していない。これはYou tubeにも言えるのですが、大きなデータをダウンロードすることは回線に多大な負担をかけるもので、こういうコストを負担しないことに、風当たりが強くなっている。まだ、旧来のスタイル、Web1.0と揶揄されるヤフーですが、Webメール、ブログ、SNSなどのWeb2.0といわれるサービスも 一通り提供している。決してグーグルの一人勝ちではないのである。そして、Web2.0の特徴として挙げられる「集合知」です。不特定多数の人たちが集まって意見を述べ合い、知恵を出しあうということですが、あの悪名高い2ちゃんねるもそれに相当する。要するに、グーグルとアマゾンだけがWeb2.0ってわけじゃないぞ、ということ。素人が集まる集合知の危うさ。グーグルが実は膨大な個人情報を握っていること。そして、グーグルは中国で、天安門という言葉を検索できないようにした、政治的には幼い企業であること。その幼い企業が、たとえば米国の支配のもとにおかれたらどうするか…。楽天的にはいられないWeb2.0の実態が浮かび上がる。Web2.0という言葉は知っているけど、それほどナーバスになることだろうか。普段の会話の中では聞かないし。一部のIT関連の人とマスコミが騒いでるだけなんじゃないか。そう思うこと自体が、Web2.0という言葉はBuzz Word、つまり根拠のない、明確な実体のないものであるという著者の主張だ。インターネットの抱える問題点に興味のある方には必読。

作家は編集者と寝るべきか

作家は編集者と寝るべきか 内田 春菊 ¥ 1,260 草思社 (2007/1/26) 「そこまで書いちゃって、いいんですか!?異能の作家が創作の秘密を初公開。話の作り方からデビューの話まで、舞台ウラのエピソード満載の異色創作入門!」これ、本の宣伝文句なんですが、売るためとはいえ出版社もよくやる。そして、へえ、この人の創作入門なんておもしろそう、と思った私もバカにもほどがある。最初に、人称の違いについて少し書かれている。小説を書くのに、主人公が語る一人称、主人公と相手が中心の二人称、客観的な視点で描く三人称。最初、春菊さんは一人称でお話を書き始めたそうだ。小説を最初に書く人というのはたいていそうだと思う。書きやすいのだそうだ。しかし、主人公の語りだと、主人公がいない場面を書くのが難しくて、今は三人称の方が楽なんだって。と、小説の書き方っぽいのはこのくらい。あとは、基本的に、「作家相手に話してるんだから、書かれてもいいってことでしょ。」という解釈のもと、人の悪口をかきつづられている。その場で反論できないタイプの人間だから、後で書くしかないんだそうだ。日本では、女は男に口答えできない。殴られるから。家庭のことは外で話してはいけないらしい。そんな描写が多々見ら れるが、いつの時代の考えなんだと思う。殴られたら殴り返す、そもそもそんな男は相手にしない。私の周りの女の子はたいていそうだけどな。鬼嫁日記とか読んでないのかな。男性誌のグラビアを例にとって、こんな妄想ありえないと憤慨してみせるが、妄想なんだからいいじゃない。男性からすると噴飯モノの妄想がくり広げられてる。

トワイライト〈2〉血は哀しみの味

トワイライト〈2〉血は哀しみの味 ステファニー メイヤー ¥ 1,000 ソニーマガジンズ (2005/08) 話題のラブストーリーです。6巻まで出ています。あんまりにもおもしろいです。これ、人気があるのは知ってたんですが、あまりにもベタな話みたいなので、どんなもんかなあと思っておりました。ストーリーは、運動神経ゼロ、平らな場所でも転んでしまうような女の子がある日恋に落ちる。相手の男の子、ギリシア彫刻のように美しい彼は、実は吸血鬼だった、という。霧深い町、フォークスに引っ越してきたベラは、学校にいる不思議な兄弟にひきつけられてしまう。そのうちの一人、エドワードとは同じクラスになる。ゴールドの瞳、大理石のような肌の彼は、彼女を不自然なくらいに避ける。なぜなら、エドワードにとって、ベラは特別にひきつけられる麻薬のような存在であったのだ。普通の男の子が女の子に恋をするとき、「麻薬のように」惹かれることはあるかもしれない。しかし、エドワードが彼女に惹かれたのは、吸血鬼として、強烈に「食したい」という本能によるものだった。だが、転んだり、予測のつかない行動をし、時に顔を真っ赤に染める彼女を見ているうち、彼女が死んでしまうことを想像しして恐れている自分にエドワードは気がつく。2巻 では、想いが通じ合った二人が、人間と吸血鬼という種族の壁に葛藤する場面が多く描かれる。とりわけ、エドワードの、ベラを吸血鬼として求める気持ち、一人の男の子として恋する気持ちのせめぎあいが、かわいらしい。また、人間を殺さないためにクマを狩るというエドワードの家族に恐れを抱きつつも、「エドワードと離れるくらいなら死んだほうがまし」と、強く彼を恋するベラの気持ちも切ない。キスシーンもあるのだが、吸血鬼というファクターをかけると、ありきたりでないのがいい。彼はキスをするとき、ものすごい精神力を使って、ベラを殺してしまわないように、まるで自分を試すように口付ける。こんなキスシーンってあまりないような気がする。設定はベタなんだけど、ありきたりの吸血鬼像でないところもこのお話の魅力。エドワードは、太陽の光に当たっても消えたりしない。にんにくも、十字架も大丈夫。学校にも通っている。移動もすばやい。車の運転でも、160キロくらいでボルボをぶっ飛ばす。エドワードの家族、彼らはみな吸血鬼なんですが、それぞれに個性やエピソードもあり、これからの展開でどうなっていくのかも楽しみです。

ヒッピー・ハンドブック

ヒッピー・ハンドブック ¥ 1,575 チェルシー・ケインフレックス・ファーム (2006/9/20) ヒッピーという人はぜんぜん知らない。思いつくのはフォレスト・ガンプの映画くらいです。この本の紹介文に「エコ」も「ロハス」もみんな、ここからはじまった! とあります。なるほど納得。著者は、子供時代をアイオワのコミューンで過ごしました。お金はあまりなかったけど、犬やら馬やらヤギやらに囲まれて、自分の食べるものは自分で作る生活をしていたそうです。その著者が、ヒッピーのファッション、音楽、必読図書などをわかりやすくまとめています。まず、ヒッピーのヘアスタイル。基本的にシャンプーはあまりしない。カットもしない。男性はジョン・レノンかボブ・マーレイ風に。女性は前髪も切らずにストレートに伸ばす、ジョーン・バエズ風がおしゃれ。アクセサリーはバンダナやネイティブ・アメリカンみたいな羽根をつけましょう。ヒッピーに欠かせないのはマクラメ編み。毛糸かひもとリングでできる、簡単な編み方です。方法が載っていますので、挑戦してみてください。Tシャツだって自分で染めてしまいます。きれいに洗って乾かしたTシャツを、ひもや輪ゴムで縛って模様をつけます。胸のところに点線で円を描く「お陽さま結び」のや り方も。そうしておしゃれしたら、散歩にでかけよう。ヒッピーは歩く。裸足で、草の上を、犬を連れて、でんでんむしやなめくじや、木立、花、雲、鳥や木の実を見ながら歩く。もちろん信号なんて無視しちゃえ。瞑想をし、マントラを唱え、ヨガのポーズを決める。コミューンの作り方、サイケな文字の書き方、壁画の描き方、抗議集会のオーガナイズのやり方など、ヒッピーライフには欠かせないノウハウも。かつてヒッピーだった方、ヒッピーに憧れる方、少しだけ現実から息抜きをしたい方に。

吉原手引草

吉原手引草 ¥ 1,680 松井 今朝子 幻冬舎 (2007/03) 直木賞受賞作品です。吉原一の花魁、葛城が突然姿を消した。男が一人、彼女に関わった人たちの間を歩き、葛城という女性の抱える謎に迫っていく。引手茶屋の内儀、お延は言う。葛城が消えたことで迷惑をこうむっただけで、話すことはないもない。舞鶴屋の見世番、虎吉は言う。女房を吉原に沈めた虎吉に、葛城は「人の世は深き井戸。暗うて底は見えぬもの。」と言った、賢い女であった。他にもさまざまな人が、葛城は賢く、芯が強く、年下の子供にも優しい女性であったと言う。葛城のひととなり、花魁になるための修行、吉原での決まりごとが一通り語られ、事件は核心に迫り始める。舞鶴屋抱え船頭、富五郎は、ある夜吉原の外まで送っていった若侍のことを話す。きつい白粉のにおいがする、堂々とした侍であった。指切り屋、お種は言う。何度か、葛城の着物を仕立て直して古着として売ったことが ある。そして、若衆の衣装が欲しいという葛城のために、小袖と袴を用意してやった。女衒、伝蔵は、葛城を仲介したときのことを思い出した。身なりのいい侍に連れてこられた葛城は、もう14という年齢で、これからの地獄も知っていただろうに、唇を真一文字に結んで、あきらめとは程遠い顔をしていた。蔵前札差、田之倉平十郎は、かつて見聞きした秋山家という家の末路を話してくれた。組頭、河野某にいびられた秋山という殿様は、ついに刃傷沙汰におよび、お家はお取り潰しになった。平様と吉原界隈で呼ばれ、上客である平十郎は、葛城がその秋山家の最後の生き残りであることを知っていた。そして、最後に、葛城が消えた夜、葛城の部屋で殺された男がいたことが語られる…。

ニッポンの名前―和の暮らしモノ図鑑

ニッポンの名前―和の暮らしモノ図鑑  ¥ 1,680 服部 幸應, 山本 成一郎, 市田 ひろみ 淡交社 (2006/01) 日本のものの名前が、イラストや写真と一緒に紹介されている。テーマが、・食べる 和食の食材と器、道具・装う 和装と伝統芸能・住まう 和風建築と生活道具・祈る 神社仏閣と冠婚葬祭に分かれている。かわいらしい和菓子には、それぞれ素敵な名前がついている。日本のお菓子は季節の風物を象徴しているのだ、十二ヶ月の代表的なお菓子がイラストで紹介されている。たとえば、今の季節だと水という干菓子がある。砂糖を煮詰めたものを水の形にしたもので、涼しげなのがいい。また、五月は落とし文といって、ねりきりで餡を包んだものが代表的。公然といえないことをわざと路上に落としておく手紙のことを落とし文と言ったらしく、ネーミングも風流。装うというテーマでは、半襟、帯揚、袖、たもと、おはしょりなど、着物の基本的な言葉を解説している。また、帯の種類、結び方の名前ももちろん書かれている。染色、織物、和風の柄の種類の名前もあって、昔の人もけっこうおしゃれだったと思う。普段縁のない、能や歌舞伎の舞台の名前、楽器の名前もある。生活を解説したものでは、町屋のつくり、かやぶき民家のつくりなんかがあって、床几(家の前におか れた椅子みたいなもので、そこで商品を並べたりする)や、犬矢来(建物の壁際に置かれる囲い)など、いろいろな工夫がしのばれる。囲炉裏端には座る順番が決まっていて、主人の座る横座、主婦のカカ座、客の客座、子供や使用人が座る木尻座と名前がある。

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