本好き日記

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この国のけじめ

この国のけじめ 藤原 正彦 ¥ 1,250 文藝春秋 (2006/04) タイトルにけじめとあるが、この本自体からけじめを感じられない、エッセイ集である。いろいろな雑誌や新聞に寄稿したものを集めたものだ。前半は、タイトルにふさわしく資本主義の過酷さ、英語教育への批判、武士道についてなど、国を憂える論が展開されているが、後半は、内館牧子に会ったことだとか、小川洋子に取材されたときの話だとか、とたんにやわらかいエッセイになっている。前半に関しては、国家の品格に書いてあることとそう変わらない。明治までの日本人には、金や物を持つことへの執着はなかった。金も物もない武士という階級が支配層であり、彼らはいざとなると国のために命を投げ出す存在であった。そのようなことが書かれている。後半では、著者の人柄がよくわかる文章が多い。ガチガチの小うるさいオッサンだと思っていたのだが、意外にユーモアセンスにあふれ、しかもそれが上品なのが本当に面白い。諏訪大社の御柱祭を見学した著者。長さ100m、傾斜35度の急な坂を男衆を乗せた巨木が落ちていく。死傷者が出ても、それは名誉と考えられているので問題ない。この諏訪からは、自然科学や文学の逸材がたくさん生まれている。 それは、この壮大な愚挙を大事にしてきた風土があってこそ、と著者は言う。また、ケンブリッジから休暇にやって来た18歳の青年が、日本で漫画を買いあさっている様子を見て、バケーションとはこうであるべき!と論じる。その文章も軽快だ。多くページを割いているのは、父新田次郎のことだ。気象庁に勤めていた父だが、東大出身者が役職を占める中、万年課長補佐と陰口をたたかれるほど、出世ができなかった。父は気象技術者で理系の人だったが、なぜ文学にめざめたのか。それは、母と息子の著者が、相次いで病床に伏したからだという。苦しくなった家計をしのぐために小説を書き始めたということになっているそうだ。だが、役所の仕事を終えて、疲れてた体に鞭打つように、「戦いだ、戦いだ。」と言いながら書斎に向かう様子を読むと、やはり創造者としての情熱が彼にはあったのだと思う。この、新田次郎の伝記だけで一冊本を書いてもらいたいと思うのである。国家の品格に比べれば、ごった煮、寄せ集めの感がある本書ですが、適当にページをめくったところから読んでいける気軽さもある。著者の洒脱なユーモア、新田次郎の横顔。ごった煮のいい味を 楽しめる一冊でした。
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